つみきのじかん

3分前の自分に「+1」

孫子の兵法が根本的にビジネスに馴染まないたった一つの理由。

「孫子」

紀元前、春秋戦国時代の武将・孫武が記したとされる兵法書である。

マイクロソフトのビル・ゲイツ氏や、ソフトバンクの孫正義氏も孫子の愛読者として知られている。

そんな現代のビジネス書として取り上げられる孫子であるが、孫子の兵法は現代のビジネス手法に根本的に馴染まない一つの理由がある。

それなのになぜ、孫子は名経営者達 の愛読書となりうるのか。

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根本的な思想の違い

戦争とビジネスで決定的に異なる点は、「失敗が許されるか否か」である。

戦争では、失敗=死となるため、失敗は許されない。

どんなに素晴らしい成功を収めようとも、一度でも失敗すれば終わりである。

この認識は以下の一文に込められている。

亡国は以ってまた存ずべからず、死者は以ってまた生くべからず

孫子ー火攻篇

つまり、人も国も滅んでしまえば終わりということをこの文は述べている。

 

一方で、ビジネスはPDCAサイクルを回すことで、小さな失敗を繰り返し、経験・ノウハウを蓄積していく。

つまり、ビジネスでは常に失敗することを前提としている。

背景が全くことなるのだから、取りうる戦略は異なるものとなるはずである。

それなのになぜ、現代の名経営者たちは「孫子」を手に取るのか。

 

孫子は「結果にコミットする」兵法書

孫子の戦略は、「漁夫の利」をさらうことがポイントとなっている。

さらに、勝利するための準備こそが最重要と位置付けており、情報操作や不意打ちも厭わない。

美しい勝利は必要ない、勝つべくして勝つことこそが至上命題なのである。

勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、

敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む。

孫子ー軍形篇

勝つ為に準備をしてきたものが勝つのであり、戦いが始まってから勝とうとする者は必ず負ける。

ビジネスは結果が全て。

この点で孫子の兵法とビジネスは通ずるものがあり、孫子の兵法は現代のマーケティング戦略へ共通する点が多数ある。

孫子の名言を取り上げながら、2点ほど代表的なものを紹介する。

 

現代のビジネスに通ずる二つの名言

彼を知り己を知れば 百戦危うからず

彼を知り己を知れば 百戦危うからず

孫子ー謀攻篇 

 孫子の中でも有名な名言である。

ここで注目すべきは、「敵」ではなく「彼」という単語を使用している点。

孫子では敵という単語は記述されいてるため、ここの「彼」は敵とは明確に区別されている。 

彼は敵以外の第三者=外部環境と意識しており、3C分析と共通する思想である。

 

3C分析とは、「市場(customer)、競合(competitor)、自社(company)」の3つの頭文字をとったもので、この3つの観点に注目して経営戦略を検討する。

これは現代の経営戦略の基本的なフレームワークである。

 

必ず全きを以って天下に争う。

必ず全きを以って天下に争う。

孫子ー謀攻篇

自分の方が強い場合、相手とは戦わずに味方に引き入れるべき、という名言。

競合と争うことで消耗し、別の競合へ漁夫の利をさらわれるよりも、相手を仲間へ引き入れて天下を狙うのである。

これは現代のM&A(企業の買収・合併)と共通する認識である。

 

「孫子」を知るために

以上が、ビジネスと根本的に背景が異なる孫子が、ビジネス書として名著であらしめる理由。

孫子を知る上で役立つ書籍を紹介しておきたい。

 

まんがで身につく 孫子の兵法

 基本的に「まんがで身につく」シリーズは入門書に最適。

孫子の兵法を知る入り口としておすすめ。

 

最高の戦略教科書 孫子

今回の記事に大いに参考にした本。孫子を読み解き、解釈している。

孫子の兵法を実践的に学びたい場合におすすめ。

 

まとめ

孫子は紀元前の兵法書であり、背景も現代のビジネスとは全く異なる。

しかし、その思想の根幹は現代の経営手法と共通している。

ぜひ、孫子の兵法を知識として身につけ、現代ビジネスの荒波を乗りこなしましょう!

*1:Business Comic Series